荒 れ た 中 学

    【 AさんのHPより転載 】

 サトウ  > うちの子の中学、問題が起きすぎている。 
     とのこと…。どんな様子なのでしょう?
     親としては、本当にご心配ですね。
     そういう中でお子さんも大変かと思いますが、自分を大切に頑張ってもらいたいですね。


   A   サトウさん、去年まで中学の先生していらしたんですよね。相談しちゃおう!
     まず、うちの子のクラスにすごい子が一人いるんです。
     この子は今年転校して来た子で・・・


 サトウ  気軽に聞いてしまいましたが、想像以上に大変な実情ですね。
     一人大変な子がいたり転向してくることにより、学校やクラスが一気におかしくなってしまう、
     というようなことは聞くことがありますね。

     お父さんは外国人のX君。
     生まれたばかりの赤ちゃんがいるのに、お父さんはいない…家庭が複雑そう。
     お母さんも懇談会に出席するなど、悩みながらも
     何とかしたい気持ちは持たれてるみたいですけど、
     「私が注意しても変わらないからもう諦めて・・・」と、
     もう家庭の教育力は失われているようです。
     彼は日本で生まれたのかしら?それとも途中から来たのかしら?
     言葉に不自由はないのかな?
     基礎学力が不足してるし、情緒欠如…厳しい実情だと思います。
     友人に殴りかかったり、担任の先生が止めに入ったらカッター・ナイフで刺そうとしたとは!
     画びょうをつけた紙飛行機を先生に向けて飛ばしていること自体、
     授業の形になっていない現状と思います。
     一緒に授業を受けている生徒も可哀相そうだけど、
     これでは指導内容に集中できないどころか身の危険も感じ、
     先生もかなり厳しいのでは?!教師も生身の人間です。
     街中で他人にこんなことしたら、傷害罪ものだと思うのですよ。

     そして根が深く大きな問題なのは、悪いのは彼だけでなく、
     その子に影響されて他にもいじめたり授業態度の悪い子が出ているということです。
     言葉が妥当かどうかとは思うけど、澱んだ水の中では、
     健康な魚も病んでしまうようなものです。

     いじめの問題も絡んできて複雑なのはもちろんですが、
     もう一つ、何が正しいのか価値観がズレてくるくることも大変な問題です。
     崩壊が慢性化してくると、大半の子がおかしな価値基準に変わってきてしまい、
     教師の指導が浸透しなくなってくるのです。
     人の心が伝わらなくなってくるというのか…
     極端に言えば、「いじめられる子が悪い」「解んないし、
     つまらないから授業を騒いだり画鋲つき飛行機を飛ばしても良い」、
     周囲の子も自分に降りかからなければ何とも感じなくなる、こんな思考回路です。
     人に迷惑を掛けるのは悪いという罪悪感が希薄ですので、怖いものなし。やりたい放題。
     大人であり、人の心を思いやれる教師の方が弱い立場です。
     周りの生徒も、騒いでうるさい子がいて先生の声が聞こえない→そうされる先生が悪い、
     「まじめは損」と諦めの気分が増してきて感性が鈍ってきます。
     まともと思える子がクラスに1人…なんてことも。
     普通の子もこうなると、先生は辛いです。どんなに心を込めてやっても言っても糠に釘。
     教育は、家庭の比重も高いと思うのですが、
     現在は教育の大半を学校が受け持たざるを得ない状況になっています。
     先生が八方塞りの虚無感に囚われないよう、
     保護者の方と連絡・協力体制を取れると良いなぁ、と心から願います。

     大切なのは、当事者とその周囲以外の『傍観者』の子達が、
     そんな状況の中でも善悪を判って考えたり行動できるかなのです。
     ところが正しいことを言う子が、くいを打たれたりはじかれてしまったりすることがあるので、
     本当に難しいのです。
     常の努力を認めず排斥するムードが出来上がってしまっていると、
     よほど人望のある子でも、悪いことは悪いとは言えない…。
     今の子供の世界は、厳しく大変なものです。
     でも加害者でも被害者でもない子が多い段階で、有効な手立てを打つことができれば、
     何とか好転する機会はあると思うのですが…
     さんのお子さんは、前にも書いたとおり自分を大切に見失わず、
     頑張っていってもらいたいです。決して流されずに…

     >上級生が荒れている
      上級生の影響が、良くも悪くも下級生に流れることもよくあることです。
     荒れていると器物破損などもひどくなるし、使用する自分達が困ると思うのに、
     ガラスを割ったりトイレやストーブなど壊したり、益々すさんだ環境になっていくんですよね。
     悪循環です。

     確かに設定された懇談会だけでなく、もっともっと話し合える場を設定すべきだと思いますね。
     そして子ども達のために、
     もっと教師と親達が協力・信頼関係を持って取り組んでいった方が良いと思います。
     普通でも、今の教育体制は教員にとってかなり忙しく負担の多いものになっています。
     その上学校崩壊のような状態だと非常に厳しいです。
     本音を言って、この状況では教師は心身ともに相当に疲労困憊だろうと察せられます。
     学校教育は、教師と親の気持ちが一体となっているか、
     もしくは敵対・離れているかで全然違います。
     一部の人たちの話から色々なことが漏れ伝わってくることもあると思います
     (確かに色々な個性を持った人はいます。同じ人間ですから。)が、
     ぜひ先生方の力が湧くように、
     できるだけ先生方の理解・協力をして盛り上げて行って欲しいですね。
     それが絶対子ども達のためになると思いますから。

     思いつくままに書きましたが、
     少しでもAさんのお子さんの学校生活が、有意義で楽しいものになりますよう願っています。 


   A   こんなに長いレスをして頂いて感謝の気持ちでいっぱいです。
     Xの事は、なにしろ転校生なので、詳しい事はわかりません。
     >でも加害者でも被害者でもない子が多い段階で、有効な手立てを打つことができれば、
     >何とか好転する機会はあると思うのですが…

     この有効な手立てとは何をしたら良いのでしょうか・・・
     具体的にこの私が何をしたらいいのかというのが、わからないのです。
     何について話し合えばいいのか、親(私)は何をすればいいのか・・・・
     今日幼稚園の行事で、隣の学区の学校に通わせているお母さんと話していましたら、
     やはりそこの学校もかなり荒れているようでした。
     ある男子生徒がある女子生徒の机とイスを教室から投げたと言っていました。
     窓ガラスも何十枚も割られたそうです。
     そこの学校では、親が交代で毎日見に来る事になっているのだそうです。
     父兄が毎日のように参観すると変わる物なのでしょうかね。
     私には解決方法がよくわかりません・・・


 サトウ  私はこれほど荒れた学校経験はないのですが、思いつくことを書いてみますね。

     >具体的にこの私が何をしたらいいのかと
     ①安心でき、落ち着ける家庭環境を作る。
     ・温かい人間関係、3食、生活リズム…
     ②子どもの善悪の判断力を高めておく。
     ・荒れたクラスにいて正しいことが通らなくなると、本当に自分を保つのが難しいです。
      行動に移すとなるとなおさら…。
       生徒の反応(判断)が大多数おかしくなると、
      教師ですら自分の言ってることに自信を失いそうになるくらいです。
     ③子どもを見守る。
     ・相談相手、アドバイス…
     ④先生の悪口は言わない。
     ・子どもが教師を信頼しなくなるだけで悪循環。
       言っても、良いことは一つもないと思います。
      もし親の立場で気づいたことがあれば、他の方法で教師に伝えたり、
      お願いしたり、協力し合っていった方が建設的です。

     >何について話し合えばいいのか、親(私)は何をすればいいのか
     (保護者で集まる機会があれば)
     ①家庭教育の大切さの確認、情報交換
     ・子どもの家での過ごし方
     ・小遣い
     ・会話
     ・身だしなみ
     ・家庭教育方針…等
     ②学校教育との協力関係を築く
     ・学校の話を聞く
     ・学校に保護者が協力していけることについて、前向き建設的な意見交換→学校に伝え、協力

     ※学校フリー参観も一つの方法と思います。
     生徒達の様子、教師の忙しさ大変さも理解していただけると思います。
     そこから、また取り組んでいけることが見えてくるかもしれません。


   A   明日中学の個人面談があるんです。
     先生の方に、学校と協力できる事は何があるか伺って来ますね。
     親切にレスをして頂いて本当に有難うございました。
     今度は、楽しい話もしましょうね!

  教員の増員を

          【いじめ自殺】 ~ブログより転載 2006.11.13~

      今日も朝からいじめ自殺の報道がされています。
     実は私が勤めていたことのある学校のようです・・・

     このところ教育関係の自殺の連鎖が見られます。
     もう現場はギリギリのところまで来ていると思われます。

     教員の免許更新制が打ち出されようとしています。
     私はそこには問題の解決はないと思います。

     今採用されている教員の方々は、皆優秀です。
     日々研鑽し、熱心に教育活動に当たっています。
     にもかかわらず、現場の苦悩は日増しに大きくなっているのです。

     なぜか。
     まずは社会の複雑化。
     そして現場とはかけ離れたところで作られている学習指導要領・・・

     “個人の尊重”を重視した教育、これが子どもたちの規範意識の低下に
     つながっていると、教育界が認識し始めたようです。
     地域、家庭、いろいろな価値観の中で正しいことが正しいと通らなくなっている現実。
     いじめる子が悪いと思っている生徒は半数ほどになっています。
     この複雑な社会、多様化した価値観の中で
     全員の子ども達に対応するには、今の40人学級では無理です。
     先生の指導や影響力にも限界が来ています。
     心ある先生こそ、悩んでいます!
     教員の質のせいにして、これ以上教員を締めつけないでほしいです。
 
     週5日制・・・
     総合学習・・・
     ゆとり教育は残念ながら、却って学校教育を忙しくしてしまいました。
     結局社会の枠組みが変わっていないので、子どもたちは塾に向かい、
     先生たちは限られた時間の中で膨大な研修や会議に身を削っています。
     日々の指導に当たりながら・・・
     先生も生身の人間、完璧なサイボーグではありません。
     疲れ、余裕がなくなっています。
     先生になってくれる人がいなくなっては困ります。
     それが一番心配です。

     先生を増やしてください!
     先生たちにゆとりを。
     善が通る、正しい価値観が負けない“数”が必要です。
     ましてや教員の削減は教育の命取りになりかねません。

     徒労感を拭い去り、
     先生に教育の理想と、笑顔を取り戻してもらってください。

     そして子どもたちを救ってあげてください。
     希望のある教育をしてあげてください。

= ~ = ~ = ~ = ~ = ~ = ~ = ~ = ~ = ~ = ~ =

   A    ブログ読ませて頂きました。
     ブログの方にコメントを入れようと思ったら
     文字数が多いですって文字数減らして下さいって出てしまいました。笑
     なので、こちらに書かせて頂きますね。

     うちの生徒達も小学生のうちからクモンに行ったり、
     学研の教室に通ったり、錬成会に通ったりしています。
     週5日制のせいで、小学1年生から5時間授業があり、小学3年生では毎日5時間授業、
     学校が終わり家に着くのが3時近く。かわいそうです。
     30分のレッスンですら、時々落ち着きがなくなるのに
     毎日5時間授業では頭にも入りづらいので?と思います。
     まして、教員は遅くまで残業しても手当てもつかないと聞きました。
     うちの中2の生徒さんが話してくれましたがある日、
     顧問の先生に部活の基礎体力をつけるプログラムを渡され今日はこれをやること!
     と言われていたにもかかわらずまじめにやらない生徒が半数をしめ、
     困った部長が顧問の先生に言いに行った所、怒ったそうです。
     「俺だって残業手当もつかないのに、おまえらの為に残ってやってるんだぞ!」と。
     部活をまじめにやらない子は毎回毎回決まっているようですし、
     この言葉の前後にはもっと言葉はあります。
     でも確かに先生もそう言いたくもなるな~と思いました。
     先生も一杯一杯なんですよね。

     中学になっても逆上がりができない子、ジャンプができない子がたくさんいます。
     机に向かうばかりではなく、もっと大事なものがあるのではと思ってしまいます。


 サトウ  >文字数が多いですって文字数減らして下さいって
       Aさん、たくさん書いてくれてありがとう♪(笑)

     こどもたちも、小学生のうちから大変なのね。ε-(ー。ー)ふ~
     教員ももちろん遅くまで仕事しても、「仕事が遅い」と言われるだけで無報酬です。
     でも、終わらないんですけど~
     自分の専門教科以外の総合学習など指導案が特に示されている訳ではなく、
     各学校、教師に創意工夫で任されているわけです。
     どこでその研修時間を捻出するか・・・
 
     部活動も一連の教員としての仕事が終わってからの、まったくの奉仕。サービス。
     教員も人の子。好きでやっているならまだ良いですが、
     実質長時間労働拘束は家庭がある身には負担も大きいです。
     そんな中、何かあると責任だけは問われてきます。^^;

     >机に向かうばかりではなく、もっと大事なものがある
      これまでの教育の荒廃は、教育行政の失敗と言っても良いのではないかと思うのですが。

     実態に合っていない学習指導要領を、これまで同様教師の負担にばかり負んぶして
     実施していく方向では、ますます現場が混迷していくと思います。

     複雑化した社会、子どもたち分だけある多様化した価値観の家庭とその親。
     なかなか一般の学校が、モデル校のような理想的で模範的な研究授業と同じようには
     できないことも多く、また目の前の指導にも追われ・・・
     日々涙ぐましい教育実践をしている多くの熱心な教師たち。
     その大多数の教師の力量を認めることなく、
     教師の質の低下を問う風潮にばかりなっているのが残念です。
     これ以上また教師を忙しく縛り追い込み、ゆとりをなくさせて良いことは一つもないと憂えます。
     それが直接こどもたちに返っていくのですから・・・

     教育行政に携わる人には、3年なり一般学校での実体験をぜひお願いしたいと思います。


   A   ほんとですよね。
     先生ってあこがれの仕事ではありますが
     私には、とうてい無理な仕事だと思います。
     複雑化した社会、指導に追われているせいなのか
     生徒の話を聞いたり、友人の子供の運動会を見に行ったりしても
     中にはおかしいな~この先生と思う方がいます。
     これは、価値観の問題なのかどうか・・・
     私が小、中学の頃、先生が今日いないのは研修のせいです。
     と1日お休みする先生がいました。が
     今、生徒に聞くと「先生ね、海外旅行に1週間行ってたんだって。
     でおみあげもらったさ~」と言っていました。
     昔は、私事で休むなんて!という感じだったと思うのですが、
     今は普通にサラリーマン先生がいるんだな~とちょっと微妙な気持ちになりました。
      安心して学校に通わせられるようになってほしいですね。
    

 サトウ  >先生ってあこがれの仕事ではありますが
      憧れの職業であって欲しいですよね。
     でも少し前、憧れて先生になったばかりの若い女性教師が、
     保護者からクレームが相次いだようで、「無能ですみません。」
     というメモを残し、自殺しましたね。
     私は今教員に採用されるような人は優秀だと思っています。
     きっとこの先生も、努力されて教師になったことと思います。
     希望に燃え、全てはこれからだったと思うのに、
     現実の現場は本当に悲しく、痛ましいことでした・・・

     >研修のせいです。と1日お休みする先生がいました。が
     >今、生徒に聞くと「先生ね、海外旅行に1週間行って
     >たんだって。でおみあげもらったさ~」と言っていました。
      もちろん今でも、他校での研究授業等、研修はあります。^^
     1週間の海外旅行! いや~、もし普段の時にできるようなら、
     むしろこの先生は力のある先生なのかもしれません。
     有給休暇を上手に使い、リフレッシュして生徒に還元できます。
     これからの時代、そうできたら理想的なのかも。
     でも多くの先生には(私も含め)授業のやり繰りを考えても、
     残念ながらその余裕はありませんでした。

     それから、私的でない海外の教育機関を廻る公の研修もあります。
     生徒側からはちょっと区別がつかないかもしれませんね。

     今は教育基本法が国会で紛糾しつつも、成立へと動いています。
     本当に安心して学校に通わせられるようになってほしいし、
     日本のこどもたちの教育の行方をしっかり示して欲しいです。



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